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役に立つ研究とは

  • 2017年3月21日
  • 読了時間: 3分

結論(自論)

梶田先生は、イノベーションのための科学に危機感を覚えているが、その理由は二つある。

  1. 国の方針で短期的に価値創造可能な科学技術に力を入れる傾向にある点。

  2. 中高生などの若い世代が、研究にどんなメリットがあるのかを質問する雰囲気にある点。

自分はこの二つの問題の根は同じ場所にあると考えている。根本的には現我々の社会構造(資本主義経済)を成り立たせるうえで、上記のような考え方になるのは不可避であるため、国としてはそのような考え方になるのは必然ではないだろうか。また、中高生も現在多数の情報に接する機会を有しているため、少なくとも自分が生きている時間内でどのようなメリットがあるのかを明確にしたいという考えを持つ学生が増えるのは、将来をしっかりと考えている証になるのではないだろうか。

この手の問題を解決するためには、我々がそのような”何の役に立つのか”という質問を投げかかてくる多数の学生ないしは、社会の人々に対して、どのように情報発信を行い基礎研究の有効性を述べ、さらに実際に応用につなげることにある。このことは、基礎研究を志す若い世代の育成にも役立つと筆者は信じている。

では、具体的に基礎研究を行う端くれとして、基礎研究の有効性を説明する手法論に関して最近の筆者の考えを説明する。

  1. 基礎研究を行うとセレンディピティを得られる可能性がある。(セレンディピティとは偶然、応用展開等にもつながる発見である。)

  2. 基礎研究をやらなければ、真の意味で応用は実現できない。(これはすでに応用展開がなされている分野には適用できるし、そもそも説明を端折ってもわかる)

  3. 応用化の具体的な流れと可能性をできうる限り列挙する。

  4. なぜを追及することに事体に重要な意味があることについて説明する。

1と2に関しては、一般人に説明する上では納得行ってもらえる可能性が高い。しかしながら、それでも役に立たないのではないかと食い下がってくる学生は必ずいるだろう。(筆者もその一人であるがゆえに)

そのような学生には、最終的に3.で説明した、応用化の具体的な流れと可能性を出うる限り壮大に説明するのがよいと考える。もちろんこれは簡単ではない。優秀な学生であればおそらくテキトウな説明をしてしまうと逆効果である。例えば、筆者が第一著者である。”Lateral Diffusion of a Submicrometer Particle on a Lipid Bilayer Membrane”における研究の意義としては、簡単に説明すると細胞の制御につながることを示している。

筆者はこの中でもっとも大切なのは、自分の結果が何につながるのかという点を明示することが重要であると考える。そもそも、つながりを明確にすることが、科学技術の醍醐味だと私は感じる。なぜなら、すべての研究は必ず何らかの形でつながっているからである。我々研究者や科学者はそのつながりを物証を明確にして人間のわかる形に翻訳する職である。

纏めると、

可能性がゼロではない事象や応用展開に対して、現在行っている基礎研究がどのようにつながるのかということを熱意をもって説明することが、基礎研究を進展させるのに役立つのではないかと筆者は思う。

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